東日本大震災から7年半が経過した今、自主避難者の住宅支援が打ち切られる等、経済的、精神的に厳しい状況におかれている母子避難者に対して、ライフスタイル改善のための啓発活動と地域住民との繋がりを作ることを目的の一つとして、今回の講演会を開催させて頂きました。
未だ多くの方々が帰還できず、それぞれの地で生活されています。移住されている方々も、ここ横浜に住む皆様も ふるさとに抱く思いは同じではないでしょうか。
今回、浪江町史に多く残されている中から、昔話三作を 「絵おと芝居」 という形にして、物語と演奏でお送りしました。
本番2時間前、初めて出演者・スタッフ全員が集合しての最終リハーサル(一発勝負)が始まる。来場者数も気になるが、全員が緊張と不安を覚えながら、開場の14:30を迎える。
開演5分前の14:55には、会場はほぼ満席の120名を超える来場者数。 15:00開演です。
MC担当 河西さんの軽妙なオープニングトークからスタートし、代表 図子の挨拶はいつもと一味違った内容で、本日のテーマである 「ふるさとを思ふ」 を語って頂きました。
物語・語り部・演奏のコラボレーション「絵おと芝居」の開幕です。一作目は あんば様(海に面した請戸地区 苕野神社に祀られる安波様の物語)
語り部は 浪江まち物語つたえ隊 八島妃彩さん、ナレーションは全3本を通して 杉本周子さん。
そしてBGMには、JUNKBOX ヴァイオリンの 山岸亜人さんとギターの 朝倉哲也さんで、場面場面に合わせたオリジナル曲を挿入する事で、物語が一段と深みを帯びたものになっていました。
語り部のお国言葉(地元方言も含め)は、民話に奥行を持たせ、物語の最後にはナレーターによる流れるような朗読が、物語を更に引き締まったものに仕上げていたように思われます。
次の作品に移る前に、MC河西さんとナレーター杉本さんによるミニトークがスタート。
物語の「安波祭」から、お祭りのお話し、それぞれ地元のお話し、等々から会場の皆さんの出身地域を聞いて驚き。北海道・東北・関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州 と、沖縄地域を除き全て会場におられました。 ふるさとを思う気持ちを共有しながら、次の作品へ。
二作目は あっこ淵(請戸川上流 室原地区 室原川の大きな淵での物語)語り部は 石井絹江さんです。
あっこ淵の後の二人のミニトークは、物語中「特別なご馳走」の話から、二人が会場に降りて来場者に「あなたにとって特別な食べ物は何ですか?」の質問に、子供は可愛くカレーや唐揚げ、中には大トロが出て歓声と爆笑も。
なみえ焼そばやそれに使われる大堀相馬焼もスクリーンで紹介しつつ、次の作品へ。
三作目は 歯形の栗(大堀相馬焼で有名な大堀地区 栗の大木にまつわる物語)語り部は 岡洋子さんです。
歯形の栗 終了後、10分間の休憩を挟んで、後半の部最初は、絵おと芝居でBGMを担当して頂いた JUNKBOXのみなさんによるライブです。
ボーカル「なつき」の透明感ある歌声とバイオリン「山岸亜人」の深みある音色をリーダー「朝倉哲也」が味わい深い音楽に仕上げた3曲を披露。
(「ヴォーカル なつき」さんは来場いただいたご家族の前での歌声披露でした)
素晴らしいライブの余韻を残しつつ、引き続き「浪江町60年の軌跡」スライドショーを上映。
(浪江町 まちの思い出を映像でふりかえる)
後でお聞きした話ですが、浪江町のスライドショーを初めて見て頂いた方からは「感動とショックを受けた」とのこと。また浪江出身の方からは「何度見てもやはり涙が出てしまう」との事でした。
スライドショー終了後は「浪江まち物語つたえ隊」の3名が舞台に登場して頂き、MC河西さんよりインタビュー形式で、それぞれの思いと、今のふるさとへの気持ちを生の声で伝えて頂きました。
フィナーレは、出演者・スタッフ全員が舞台に上がり、復興応援ソングである 「花は咲く」 を、会場全員合唱にて無事終演となりました。
ここまで、語り・BGM・演奏・合唱等、何事もなかったかのように影で音響を担当して頂いた長島さん。
照明操作を含め、何よりこの会場を使わせて頂き、全面的にバックアップして頂いた「男女共同参画センター横浜北」の皆様方に、心からお礼申し上げます。
来場者総数: 125 名
西日本豪雨災害 募金総額: 21,065 円 ( 岡山県倉敷市 カフェパンダさんへ送付予定 )
アンケート数: 54名
アンケート紹介(一部)
・ 新潟出身のため、福島はとても身近な土地大好きなところです。これからもたくさん訪れたいところです。いろいろな思いの方がいらっしゃると思いますがこれからもずっと応援していきます。
・ 絵おと芝居素晴らしかったです。出身は違うのに浪江町が懐かしいです。
・ ご自身の経験を語られるのは辛いと思いますが後世の人達に震災を忘れない為にもお願いします。
・ たくさんのグループ、団体、個人の皆様の温かいつながりから企画されたイベントであることが随所に感じられ幸せな気持ちになりました。
・ 孫にも見せたかったです。
・ 構成もよく考えていらっしゃって感動しました。家族知人にも絵おと芝居の話をしていきます。
・ 語りと音楽が心地よかった。浪江町の映像と歌が素晴らしかった。話の間のMCのつながりがあり穏やかな雰囲気を作っていてよかった。
・ その土地その土地の民話は聞いていて面白いですね。昔の暮らしや人の思い、私たちが忘れているとても大切な心の有り様を思います。
・ 素晴らしい絵おと芝居ありがとうございました。請戸、室原、大堀を思い出しました。特に歯形の栗の話は涙して聞いていました。
・ お国言葉がとても良かった。生のバイオリンが素敵だった。
次回は、11月25日(日)14:00~16:00
アートフォーラムあざみ野 1F レクチャールーム 入場料: 500円
ふくしまを離れて ~ お話しとコンサート ~
「福島から避難して7年半」(首都圏在住の母子避難者)
「より良い生活に向けて」(早稲田大学 松村 治)
「歌と演奏」アンサンブルミューゼ
お楽しみに!又11月会場でお会いしましょう!!
最後に今回の出演者・スタッフからのメッセージ(一部抜粋)を紹介させて頂きます。
・ 脚本、演出、語り、BGM, 演奏、ナレータ、MC等々それぞれの役割を、見事に完成させ一つの大きな太陽のような輝きを放っていたように思います。
・ 素晴らしい企画が実現されて、民話を通して改めて故郷を持てている幸せを実感しました。
・ 来てくださった方々の満足げな笑顔が嬉しかったです。
・ 時間も限られており、リハーサルも十分とはいえない中、非常に完成度の高いステージを作りあげられたこと、本当に驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
・ 会場を後にする観客の皆様の表情がとても素敵だったこと、私達の心にあたたかーく穏やかなお土産を置いていって下さいました。
・ 大人も子供も誰もがひと時でも同じ場所で、昔話を聴き、音楽を楽しみ、一緒に唄う。ひと時でもふるさとを思い感じ、ほっこりとした豊かな時間がこの場所で感じて頂けたのかな?きっと感じた下さったと思います。皆様の笑顔が印象的でした。
避難者・避難先 という言葉はもう使わない。
移り住んだこの町での新しいコミュニティに、自然に入って行きます。だから、周りの人たちも普通にコミュニケーションとってあげましょう。
新しいネットワークを、もっともっと広げましょう。