≪桜がつなぐ相馬と横浜・都筑≫

 「福島県 相馬港・松川浦漁港 渚の路」の一角に、震友の証を残して参りました。

 全国植樹祭の理念「豊かな森林の次世代への継承」を長期にわたり実践する場とし、そのシンボルとして県などが天皇陛下の詩歌を刻む「御製碑(ぎょせいひ)」が設置され、その「御製碑のある公園」内にある植樹スペースに、『わすれない3.11震友の証として』

NPO法人 結ぶ&有志で〖紅房桜の植樹〗を行ってまいりました。

 

 紅房桜は、東京世田谷区の盆栽業・増井義昭さん(故人)が、台湾の緋寒桜と静岡県のお房桜を交配して、10年をかけて作った新品種なのです。

 

〖プロローグ〗

 何故、横浜市都筑区から福島県相馬市に紅房桜の植樹なのか?

そこには「結ぶ」ならではの「繋がる」ものがたりがありました。

 

 さかのぼること4年前、東日本大震災からの復旧が思うように進まない岩手県大船渡市。津波被害の跡地に、少しでも希望の何かを残したいという思いから、東京世田谷区の盆栽業・増井さんが、大船渡市の及川さん宛に桜の苗木 100本を寄贈。

 ある結ぶメンバーの人脈が増井さんと繋がっており、年に2回実施の「被災地応援キャラバン」で 2年前に大船渡を訪問した際、この桜の植樹の話を知る。更に大船渡市の及川さんは、都筑区在住の神長さんと知り合いとの事。神長さんは「結ぶ」のイベントで度々扱っている「ワカメ・コンブ」を提供して頂いている方なのです。全てが繋がり、この 2年前に「結ぶ」が閃いた。

 福島県相馬港・松川浦にこの桜の植樹が出来ないかを相談したところ、増井さんの奥様のご厚意で 5本の苗木を、更に相馬港湾建設事務所の協力も頂き植樹の計画となったのですが、苗木には植樹の時期が重要である事から、この年には実現せず、今回満を持して「植樹ツアー」というかたちで実現いたしました。

 勿論、増井さんの奥様には今回の植樹の報告をさせていただきました。

〖 出 発 〗

 「NPO法人 結ぶ」 が企画したバスツアー、21名の応募で地元バス会社のご協力もいただき、快晴の下に11月26日(月)朝 都筑区2箇所の乗車にて福島県に向けて出発です。

〖 あぶくま洞 〗

 首都高・常磐道・磐越道、途中SAで2回の休憩をとり、福島県田村市滝根町の「あぶくま洞」に到着。

 例年ならこの時期、福島県中通りの紅葉は見頃を過ぎているのだが、今年の暖冬のおかげで鮮やかに色づいた木々たちが私たちをお迎えしてくれていました。 さあ先ずはレストランで昼食です。

 昼食後は、八千万年をかけて創られた大自然の造形美「あぶくま洞」を見学。 地球の謎がいっぱい詰まった地底ファンタジー。 全長600m、高低差50m(滝根御殿まで)アップダウンがちょっとだけ疲れる40分の洞内コースでしたが、ボランティア案内さんの説明もあり、見どころの滝根御殿では、その神秘的な鍾乳石が創る形と美しくライトアップされた照明とのマッチングが、より幻想的な世界を映し出していました。

 あぶくま洞を後にし、バスは福島県中通りから浜通りに向かって県道を走ります。田村市から川内村経由で帰還困難区域の富岡町に入り、富岡ICから常磐道を北上し、本日の宿泊地である相馬市松川浦へ。

 

〖 被災地の方々のお話し 〗

 結ぶの「被災地応援キャラバン」では毎年のようにお世話になっている、相馬市松川浦の「ホテルみなとや」さんで一息ついた後、ロビーにて各被災地の方々に東日本大震災での様々な出来事、体験談、思い等々、生の声を聞かせて頂きました。

〖 夕食 & 懇親会 〗

 被災地の方々のお話しを聞いた後は、新鮮な魚介料理満載の夕食会とともに、都筑区と被災地東北を結ぶ懇親会がスタート。

 食べきれないほどの新鮮な海の幸料理を堪能しながら、夕食前お話しでは足りなかった内容を、引き続き懇親会の形で熱く真剣に、笑いも交えながら楽しいひと時を皆さんで共有できたようです。

 中締めには恒例の「相馬五本締め」でお開きとなりました。

明日は今回のツアー目的でもある「植樹セレモニー」です。

 

〖 植樹セレモニー 〗

 雲一つない快晴で向かえた2日目。朝食後に向かった先は、今回の植樹に全面的にご協力いただいた福島県相馬港湾建設事務所。 到着後植樹まで少し時間の余裕があったので、全員で相馬港が360度見わたせる事務所屋上まで上がり、復旧・復興工事の内容説明を資料と共にして頂きました。

 いよいよ植樹場所である「御製碑のある公園」内にある植樹スペースへ。軍手・スコップ・添木・立て看板等々、何から何まで準備万端ご用意していただき、用意した五本の紅房桜を、港湾 企画管理課の方々の全面協力の下で無事植樹することが出来ました。立て看板までご用意いただき、その植樹の意義も公園内に残すことが出来ました。 本当に有難うございました。

〖 中野宅 見学・説明 〗

 次なる視察場所は昨夕からツアーに参画の、浪江町の立野地区にある中野弘寿さんご自宅(跡)。今はいわき市に新たな住居があるが、ほぼ毎日1時間半かけて「通い農業」をされている。震災前はお仕事をされながらも、米作りから畑は勿論、牛、鶏も飼育されていました。 原発事故による避難で、生き物を助ける事が出来ない。役人と揉めた末に、牛を薬殺する事となった話は改めて怒りが湧いてくる。 守ってきた家、自分の手で一生懸命作り上げてきた特注納屋や様々な設備。あの原発事故により、全てを置き去りにして避難しなければならなかった悔しさ。7年半無人の家は、とても人間が住めるところではないのです。そこは獣たちの格好の住居と化してしまっているのです。 家の中は獣たちによってメチャクチャにされ、獣たちの糞や尿のにおいで、マスクをしていても体調が壊れる状況である。猪や豚だけでなく、ハクビシンやサルまでも入り込んだ家の玄関には「解体家屋1335」の張り紙がありました。

〖 Oカフェで昼食会 〗

 2日目の昼食処は、今年8月に実施した「絵おと芝居」の語り部出演して頂いた岡 洋子さんが、自宅の倉庫を改修して今年の5月にオープンされた「Oカフェ」で、地元食材満載の田舎料理のご馳走です。助っ人には同じく「絵おと芝居」に出演して頂いた、石井さんと八島さん、そして応援隊の若者2名。お土産品として、石井農園自家栽培でのえごま油やカボチャ饅頭、季節ものの柿ジャム等々も準備していただいた。

〖 原発エリア R6通過 〗

 Oカフェにて昨夕から同行の、気仙沼市の清水ご夫妻、南相馬市の鹿山ご夫妻、そして中野弘寿さんともお別れし、横浜への帰路へ。 途中のルートではあえて常磐道を通らず、原発エリアに近い国道6号線を南下。浪江町から第1原発の双葉町・大熊町、第2原発の富岡町・楢葉町を通り、Jビレッジのある広野町から常磐自動車道に入り横浜に向かう。

〖エピローグ〗

 福島県相馬港湾建設事務所 企画管理課 主任主査 大和田 智彦 氏とのお礼と感謝のメールのやり取りを一部抜粋で紹介させていただきます。

 

[結ぶ 代表 図子より]

 立派な看板も設置され、友情の懸け橋に未来を託し、毎年桜を見るとおもいだすでしょう。来年は無理かもしれませんが、必ず桜の時期に伺います。色んな準備も勝手なことを申しお願いしてしまい申し訳ございませんでした。震災のお陰でこのような素晴らしい震友が出来た事感謝しています。

 

[相馬港湾 大和田氏から]

  先日は遠方からたくさんの方においでいただきありがとうございました。こちらこそ復興のシンボルとなる公園にすばらしいアクセントを加えていただきまして大変感謝しております。私自身も楽しい時間を過ごさせていただきましたし、皆さんにも喜んでいただけたのであれば幸いです。きれいな桜を皆さんに見ていただけるようにお世話しますので、是非見に来て下さいね!! いつでもお待ちしております。

 

 

【 五本の紅房桜の苗木が、華やかに咲きほこる光景を想像しながら、必ず来ます、必ず!】